死による逃亡と残された人

助けられなかったという後悔
失った悲しみ
その人がいないという恐怖
失ったのだと再確認した時の

どうしようもない喪失感
何もしなかった自分への怒り

 

生も幸も不幸も静寂も孤独も

怨みも妬みも恐怖も歓喜

至福も友情も愛情も何も。
死は何も生まない。
ただそこに無が訪れるだけ。

1が消えて輪が乱れるほど

この世界の人間は他人に興味が無い。

一人が消えてもきっと

いつも通りの毎日が続くだけ。

ニュースでは政治家が僻みあって

誰かが誰かを殺して誰かが誰かと結ばれて

そんな報道を淡々と続ける。

例え誰かが消えてもいつも通り朝は来て

学校に行くもの会社に行くもの

家出家事をするものがいて。

何の変哲もないいつも通りの

毎日が繰り返されるだけなんだろうけれど。
残された人間はどうする?
罪悪感、虚無感に襲われて

あとを追わない人間がいないと

断言出来る自信があるか?
死は何も生まない。
何も生まないけれど。
何もなくならない。